「浅見光彦」シリーズで知られる名優、榎木孝明さん。プライベートでは3人の子供を持つ父親でもあります。中でも注目が集まるのが、「息子は俳優の道を選ぶのか？」という点です。謎に包まれたご家族の現在と、榎木さん流の子育ての哲学に迫ります。
榎木孝明さんには、2人の息子さんがいることが知られています。
ネット上の情報を総合すると、長男は1997年生まれで、名門・青山学院大学を卒業後、現在は一般企業で社会人として活躍されているようです。人気俳優の息子という立場を一切利用せず、自らの力で社会と向き合う道を選んだ長男。芸能界の華やかさと厳しさの両面を知り尽くしている榎木さんだからこそ、息子には地に足の着いた人生を歩んでほしいと願った結果なのでしょう。
青山学院大学は、国内だけでなく世界で活躍する人材を数多く送り出していることで知られています。父親の知名度を利用することなく、自分自身の実力で社会に出て行く姿勢は、榎木家の教育方針の成果と言えるでしょう。
一方、次男は成城大学に在学中との情報があり、大学ではサッカー部に所属し、文武両道の日々を送ってきたと言われています。一部では、レギュラー選手としてチームの中心的な役割を担っていたという話もあり、一つのことに打ち込む集中力は父親譲りのものがあるのでしょうね。
成城学園もまた、独特の教育理念を持つ名門校です。「自然と親しみ、心情を豊かにし、頭脳を鍛え、体躯を強くする」という建学の精神は、まさに榎木さんが子どもたちに求める全人的な成長と一致しています。次男がサッカーというチームスポーツに打ち込んだことで、協調性やリーダーシップ、そして困難を乗り越える精神力を身につけたことは想像に難くありません。
お子さんたちの名前はプライバシー保護の観点から公表されていませんが、一部ではイニシャルが「ET」ではないか、という噂も囁かれています。しかし、これはあくまで噂の段階であり、公式に確認された情報ではありません。
父親譲りの端正な顔立ちに違いない、と多くのファンがその姿を見てみたいと願う息子さんたちですが、残念ながら顔写真はこれまで一切公開されていません。
これは、榎木さん自身がお子さんたちのプライバシーを徹底して守っているためです。「有名人の子供」という特別な目で見られることなく、一人の人間として自分の力で人生を切り開いてほしい、という父親としての深い愛情の表れなのでしょう。昨今、多くの二世タレントが幼少期からメディアに登場することも珍しくない中で、榎木さんのこの徹底した姿勢は際立っています。
顔を公開するということは、良くも悪くも「榎木孝明の息子」というレッテルを一生背負うことになります。その不自由さから子供たちを守りたいと考えるのは、親として当然の想いでしょう。
現代社会では、SNSの普及により個人情報が瞬時に拡散される危険性があります。特に著名人の家族ともなれば、一度でも画像が流出すれば、その後の生活に大きな影響を与える可能性があります。榎木さんが長年にわたって子どもたちの画像を一切公開していないのは、そうしたリスクを十分に理解した上での慎重な判断なのでしょう。
また、長男が一般企業への就職を選んだことからも分かるように、榎木家では子どもたちの自主性を重んじる教育が行われていることがうかがえます。芸能界という特殊な世界で生きる父親を持ちながら、一般社会で自分の道を切り開く息子たちの姿勢には、榎木さん夫妻の教育方針の成果が表れているのではないでしょうか。
榎木さん自身は、インタビューで「子どもについては一切話さない」という姿勢を貫いています。これは単にプライバシーを守るということ以上に、子どもたちが自分自身のアイデンティティを確立できるよう配慮した、深い愛情の表れと言えるでしょう。
榎木さんには2人の息子のほかに、1人の娘さんもいます。
娘さんは、多くの芸能人の子弟が通うことでも知られる和光学園に通い、吹奏楽部で音楽に打ち込んでいる、という情報があります。和光学園は多くのアーティストや文化人を輩出しており、画一的な教育ではなく個性を伸ばすことで有名な学校です。そんな環境で自分の「好き」を追求している姿が目に浮かぶようです。
水彩画家としても非凡な才能を発揮する榎木さんですから、娘さんが音楽という芸術分野に情熱を注いでいる事実は、父親譲りの感性を受け継いでいる可能性を感じさせます。父親が一人で向き合う「絵画」に対し、娘さんは仲間と一つのハーモニーを創り上げる「吹奏楽」を選んだという点も興味深く、親とは違う形で自己表現の方法を見つけているのでしょう。
和光学園の教育理念は「自分で考え、自分で決める」こと。この環境で育った長女が音楽の道を選んだことは、彼女自身の意志による選択だったのでしょう。詰め込み式の勉強ではなく、子どもたち自身が興味を持ったことを深く追求していく学習スタイルは、創造性豊かな人材を育成することで定評があります。長女がこの環境で吹奏楽という音楽分野に才能を見出したことは、まさに和光学園の教育効果の表れと言えるでしょう。
榎木さん自身の芸術的才能を考えると、長女の音楽への関心は決して偶然ではないでしょう。榎木さんは水彩画家として数多くの個展を開催し、「榎木孝明美術館」には常時約100点もの作品が展示されています。幼い頃から父親の芸術活動を間近で見てきた長女にとって、表現することの喜びや創作の楽しさは自然に身につくものだったのでしょう。
また、和光学園出身者には多くの著名人がいることでも知られています。芸能界、文化・芸術界、学術界など様々な分野で活躍する先輩たちの存在は、長女にとって将来への可能性を広げるロールモデルとなっているでしょう。
榎木さんの子育てを語る上で欠かせないのが、14歳年下の妻であり、元女優の鈴木てるえさんの存在です。
夫婦の教育方針で特にユニークなのが、「子供が10歳になったらインドに連れて行く」というもの。榎木さん自身も若い頃に世界中を旅した経験があり、その体験が人格形成に大きく影響したと考えているからこその教育法なのでしょう。これは単なる旅行ではなく、マニュアル通りにはいかない混沌とした現実の中に身を置き、予測不能な事態に自力で対処する「生きる力」を養うための、実践的なサバイバル訓練と言えます。
二人の馴れ初めは、1996年の浅見光彦シリーズ「横浜殺人事件」での共演でした。当時40歳の榎木さんと26歳の鈴木さんという14歳の年齢差を超えた恋愛は多くの話題を呼びましたが、28年間続く夫婦生活が、お二人の深い絆を物語っています。
鈴木てるえさんは1970年1月10日生まれ、東京都出身の元女優です。子役時代から芸能界で活動していましたが、榎木さんとの結婚を機に芸能界を引退し、家庭に入る道を選択したのです。
鈴木てるえさんの芸能界での活動を振り返ると、子役として1980年から放送された「男！あばれはっちゃく」シリーズでの活躍が特に印象的です。このシリーズは多くの人に愛され、鈴木さんもその一員として多くの視聴者に親しまれました。その後も様々な作品に出演し、着実にキャリアを積み重ねていました。
そんな鈴木さんが榎木さんと出会ったのは、まさに運命的なタイミングでした。浅見光彦シリーズは榎木さんの代表作の一つであり、その撮影現場での出会いが二人の人生を大きく変えることになったのです。短期間での結婚となりましたが、お互いに「この人こそ運命の相手」だと確信できたからこその決断だったのでしょう。
この選択について、当時のインタビューで榎木さんは「彼女の決断を尊重したい」と語っていました。お互いの価値観を理解し合い、家族を第一に考える姿勢が、現在の幸せな家庭の基盤となっているのでしょう。
鈴木てるえさんが芸能界を引退したことについて、一部では「もったいない」という声もありました。しかし、彼女自身が家庭に入ることを選択し、3人の子どもたちを立派に育て上げたことを考えると、これもまた一つの成功した人生の形と言えるでしょう。
榎木さんと鈴木さんの夫婦関係で特筆すべきは、お互いの専門分野を尊重し合っていることです。榎木さんが俳優業と水彩画という二つの顔を持っているように、鈴木さんも元女優としての経験を活かして、子どもたちの表現力や感受性を育てることに貢献していることと思います。
また、鈴木さんが14歳年下であることは、子育てにおいてプラスに働いている面もあるでしょう。若い感性と経験豊富な榎木さんの知恵が組み合わさることで、時代に合った教育方針を築くことができているのです。
榎木さんの「どんな仕事でも手抜きをしない」「損をしても後から得が大きいから仕事は断らない」という仕事への姿勢は、過去のインタビューでも語られており、妻のてるえさんもこうした価値観を共有していると考えられます。
2015年2月20日に放送されたNHK「ファミリーヒストリー」では、榎木孝明さんの家族の歴史が詳しく紹介されました。番組では、榎木家の波乱万丈な歴史と、現在の家族への深い愛情が描かれていました。
特に印象的だったのは、榎木さんの祖父が金山経営に失敗し、一家離散という困難を経験したことです。しかし、その後父親が台湾で出会った看護師の姉との結婚により、榎木さんが誕生したという運命的な物語でした。
榎木家のルーツを辿ると、約200年前の寛政時代には「小触(こぶれ）えのどん」と呼ばれるほどの地域の有力者でした。広大な土地を所有し、村の人々に土地を貸すほどの財力を持っていたのです。
しかし、榎木さんの祖父の代になって、鉱山業者に持ち掛けられた金山開発の話に乗り、全財産を失ってしまいます。この失敗により、栄華を誇った榎木家は一転して困窮を極め、一家離散という悲劇に見舞われることになったのです。
榎木さんの父親は、腹違いの兄に引き取られることになりましたが、26歳で陸軍に招集され、台湾に配属されます。そこで結核にかかり、現地の病院で同郷の看護師・千知岩トミさんと親しくなります。しかし、終戦後は別れて帰国することになりました。
運命の転機が訪れたのは、帰国後のことです。偶然にも、トミさんの姉・クニさんと出会った父親のもとに、ある日クニさんからラブレターが届きます。ところが、当時居候していた兄嫁が、宛先を確認せずに勝手に封を開けて読み、その内容を親戚中に言いふらしてしまったのです。
そのラブレターには、妹トミさんへの遠慮がありつつも、真剣に父親に恋したクニさんの情熱的な想いが綴られており、文末には血判付きの署名まで押してありました。この手紙を読んだ父親は、クニさんの純粋な気持ちに心を打たれ、昭和22年にクニさんと結婚。そして後に榎木孝明さんが誕生したのです。
この話には驚くべき続きがあります。祖父が金鉱探しに失敗した菱刈の地で、1981年に本物の金鉱脈が発見されたのです。しかも、祖父が掘った坑道からわずか100メートル下の地点でした。もし祖父があと少し深く掘っていたら、榎木家の運命は全く違ったものになっていたでしょう。現在の菱刈鉱山は、年間国内産金量のほぼ全てを占める日本最大の金山となっています。
この家族の歴史を知ることで、榎木さんが子どもたちに対して「困難を乗り越える力」を身につけさせようとする教育方針の背景が理解できます。インドやタイへの家族旅行で、子どもたちに多様な文化や価値観に触れさせたのも、この家族の歴史が影響しているのでしょう。
榎木さんは、子どもたちが10歳になったらインドに連れて行くことを決めていました。長男が10歳になった2007年にはインドに、次男とは同じ年にタイに、それぞれ二人だけの旅に出かけています。事前に宿を予約せず、現地でその日の宿を探すという自由な旅のスタイルは、子どもたちに自立心と適応力を身につけさせる貴重な体験となったことでしょう。
「薩摩の男なら黙って耐えろ」という父親の教えを受け継ぎながらも、榎木さんは子どもたちには自由な選択を与えています。この絶妙なバランス感覚こそが、榎木家の教育の真髄なのでしょう。
榎木さん自身も、幼い頃は「独りで絵を描くのが好きな目立たない大人しい子ども」でした。しかし、父親から薩摩示現流という古流剣術の指導を受けるなど、厳しいスパルタ教育で鍛えられました。この経験が、現在の榎木さんの「どんな仕事でも手抜きをしない」「言い訳をしない」「損をしても後から得が大きいから仕事は断らない」という職業観につながっているのです。
番組を通して、榎木さんが自身の家族の歴史をいかに大切にしているかが伝わってきました。鹿児島出身の彼にとって、家族の絆は何よりも重んじるべきもの。その想いは、現在の家庭や子育てにも色濃く反映されているはずです。
俳優、画家、武術家と、多彩な顔を持つ榎木孝明さん。その多岐にわたる経験と深い家族愛に育まれたお子さんたちが、将来どのような道を選ぶのか。
息子さんが俳優としてデビューする日が来るのか、それとも全く別の分野で才能を開花させるのかは、誰にも分かりません。しかし、どんな道に進もうとも、榎木孝明という父親が授けた「自分の頭で考え、自分の足で立つ」という哲学こそが、彼らにとって最大の財産となることは間違いないでしょう。
妻・鈴木てるえさんとの14歳差を超えた愛情、子どもたちのプライバシーを守り抜く姿勢、そして自主性を重んじる教育方針。これらすべてが、現代の家族のあり方を考える上で多くのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
榎木家のファミリーヒストリーが示すように、困難を乗り越える力と愛情に満ちた家庭環境があれば、子どもたちは必ず自分らしい道を見つけることができるのでしょう。今後の動向から目が離せません。
This website uses cookies.