2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。話題となった16話から20話のあらすじを詳しく解説します。源内の衝撃的な退場から蔦重の新たなビジネス展開まで、見逃せない展開が続きます。
『べらぼう』あらすじ 第16話「さらば源内、見立は蓬莱」衝撃の別れ
16話といえば、何といっても平賀源内の壮絶な最期が忘れられません。家基の急逝事件の真相を追求していた源内が、最終的に殺人事件を起こして獄中で命を落とすという衝撃的な展開には息を呑みました。
安田顕さんが演じる源内の鬼気迫る演技は圧巻で、追い詰められて錯乱していく姿が描かれており、胸が痛みました。真実を追求する姿勢を崩さない源内の姿は、学者としての魂を感じさせるものでした。
源内が獄中で命を落とすという悲劇的な結末を、これほど説得力を持って描いた脚本には唸らされました。意次の「言うたではないか。お前のためにも忘れよと…」という涙ながらの言葉が、二人の深い絆を物語っています。
蔦重の「俺、源内先生が死んだって信じねえことにします」という台詞には、彼なりの哀しみの表現が込められており、思わず涙腺が緩んでしまいました。
『べらぼう』あらすじ 第17話「乱れ咲き往来の桜」蔦重の商才が開花
17話で注目したいのは、蔦重が見せた鋭いビジネス感覚です。新之助との再会をきっかけに往来物(教育書)に着目した蔦重の発想力は本当に見事でした。
往来物の制作にあたり、地域の豪農や豪商から入念に取材を行う蔦重の手法は商売の本質を突いた巧妙なものでした。制作に関わった人々の愛着心を巧みに活用し、本の制作に関わった人々を販売員として巻き込む戦略には感心させられました。
四五六との専属契約も印象的でした。他の版元からの圧力に苦しむ彫師に毎年20両を保証するという破格の条件は、蔦重の人材を見る目の確かさを示しています。
このエピソードからは、蔦重が単なる商売人ではなく、時代を見通す力を持った革新的な経営者だったことが伝わってきます。
『べらぼう』あらすじ 第18話「歌麿よ、見徳は一炊夢」約束の再会
第18話では蔦重と唐丸が運命的な再会を果たします。長屋で出会った捨吉と名乗る男を一目で唐丸だと見抜いた蔦重の表情には、長い間探し続けていた想いの深さが表れていました。
しかし唐丸の境遇はあまりにも過酷でした。陰間として身を売り、絵の代筆で生計を立てる荒んだ生活。染谷将太さんが演じる捨吉の表情には、生きることへの諦めと自己嫌悪が深く刻まれており、胸が痛みました。
特に印象深かったのは、唐丸が語る壮絶な過去です。夜鷹だった母親から望まれずに生まれ、七歳から客を取らされた過酷な幼少期。鳥山石燕との出会いで絵の喜びを知ったものの、明和の大火で母を見捨てざるを得なかった罪悪感が彼を苦しめ続けていました。
そんな唐丸に対する蔦重の「お前が悪いとは思えねえ。お前が生きて良かったとしか思えねぇんだよ」という言葉が心に響きました。源内や瀬川を救えなかった蔦重が、今度こそ大切な人を失うまいとする必死さが伝わってきます。
そして蔦重の「歌麿、あのときの約束を守らせてくれ。お前を当代一の絵師にする。」の言葉に、唐丸も涙を流します。喜多川歌麿という歴史に名を残す絵師の誕生を、感動的に描いた18話は印象深いエピソードでした。
『べらぼう』あらすじ 第19話「鱗の置き土産」人情と商売の交差点
第19話では鱗形屋の廃業が心に響きました。
片岡愛之助さんが演じる鱗形屋の最後の姿には、商売人としての誇りと諦めが複雑に入り混じっており、江戸の出版業界の厳しさを痛感させられました。
一方で、恋川春町を説得する蔦重の姿も印象的でした。「先生の作品でこそ見たい」という蔦重の言葉は、創作者の心を動かす力強さがありました。春町が鶴屋から古いと切り捨てられた中で、蔦重だけが彼の才能を認めて必要としていることを伝える場面には、人を見る目の確かさを感じました。
そして19話で最も心に残ったのは、鱗形屋が蔦重に「塩売文太物語」の版木を託すシーンでした。これは蔦重が生まれて初めて買った赤本で、後に瀬川にも渡した思い出深い本でもあります。
大火で焼け残ったこの版木を差し出された蔦重が涙を流す場面は、二人の長い確執に終止符を打つ感動的な和解の瞬間でした。「うちの本を読んでいたガキが本屋に」という鱗形屋の言葉には、商売を超えた深い絆が表れており、感慨深いものがありました。
『べらぼう』あらすじ 第20話「寝惚けて候」狂歌の世界への扉
20話では蔦重が狂歌の世界に足を踏み入れる展開が描かれました。大田南畝(桐谷健太)との出会いは、蔦重の文化人としての新たな一面を開花させる重要な転機となっています。
狂歌の会の場面は、江戸の知識人たちの遊び心あふれる文化を見事に表現していました。その場で思いついた言葉で即座に歌を詠み合う様子や、機知に富んだ言葉遊びは、現代のフリースタイルラップにも通じる即興性と創造性を感じさせる演出でした。
桐谷健太さんが演じる大田南畝の狂歌には、知的でありながら庶民的な魅力があり、蔦重が惹かれていく理由がよく理解できました。文学と商売を結びつける新たな可能性を見出した蔦重の表情も印象的でした。
一方で江戸城内では豊千代の正室問題が浮上し、政治的な緊張も高まっています。文化と政治が交錯する江戸の複雑さが、この回でも巧みに描かれていました。
蔦重がこれまでの商売一辺倒から、より深い文化的な領域へと歩みを進める20話は、彼の成長を感じさせる重要なエピソードでした。
まとめ – 別れと再生が織りなす蔦重の転換期
16話から20話にかけて『べらぼう』は、登場人物たちの人生が大きく動く重要な局面を迎えました。源内の退場という悲劇から始まり、蔦重のビジネス手腕の開花、そして新たな文化的領域への進出まで、濃密な展開が続きました。
これらのエピソードを通じて感じるのは、脚本家・森下佳子さんの人物描写の巧みさです。歴史上の人物でありながら、現代にも通じる普遍的な魅力を持ったキャラクターとして蔦重たちを描き出しています。
次の展開でも蔦重がどのような革新的なアイデアで時代を切り開いていくのか、目が離せません。
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