「最近なんとなく体調が悪いけど、何科に行けばいいかわからない……」そんな経験はありませんか?
『19番目のカルテ』は、そうした悩みを抱える患者の“最初の相談窓口”となる医師、「総合診療医」をテーマにした医療ヒューマンドラマです。
体と心を丸ごと診る総合診療医の物語
この作品は漫画として連載されており、2025年7月にはテレビドラマ化も決定。
ですが、「漫画もドラマもあまり見ない…」という方にも、ぜひ知っていただきたい内容が詰まっています。
なぜならこの物語は、病気の診断以上に、「人の話をきちんと聞くことの大切さ」を教えてくれるからです。
”症状”だけではなく、”人”を診る医療
物語の主人公は、徳重晃という総合診療医。
彼の役割は、専門的な診断や手術ではなく、「どこが悪いのかわからない」「症状がいくつもある」といった患者に、まず話を聞き、全体の状態を判断することです。
たとえば、発熱やめまいといった体の症状に加えて、生活環境や精神的ストレス、家庭の問題など、複数の要因が絡んでいるケースもあります。
徳重は、そうした背景まで視野に入れて診察することで、患者が本当に必要としているケアにたどり着いていきます。
派手な医療シーンは登場しませんが、患者との会話(=問診)を通じて、原因を丁寧に探っていくその姿は、まるで探偵のようでもあり、同時に深い人間味を感じさせます。
若手医師・みずきの目線で描かれる“学び”
この物語は、3年目の若手医師・滝野みずきの視点で進んでいきます。
整形外科で働いていたみずきは、あるとき気づきます。「骨や筋肉だけを診ていて、本当にその人を診ていると言えるのか」と。
そんな彼女の前に現れたのが、総合診療医の徳重でした。
患者の話をじっくり聞き、暮らしぶりや過去の出来事にまで目を向ける彼の診察に、みずきは強く心を動かされます。
みずきは徳重と行動をともにするなかで、医師としてだけでなく、一人の人間としても成長していきます。
「目の前の人を丸ごと受け止めるには、どうすればいいか?」という問いは、私たちにも通じるものがあるかもしれません。
テーマは“聞く力” 誰にとっても大切なスキル
この作品の核にあるのは、「問診」です。問診とは、患者の話を聞くこと。
ただ聞くだけではなく、「何を語らなかったか」「言葉に詰まった理由」「表情の変化」「日常の些細な行動」など、相手の中にある小さなサインを丁寧に拾い上げていきます。
この“聞く力”は、実は医療だけでなく、日々の生活でもとても大切な力です。
家族や友人、同僚との関係で、「ちゃんと話を聞いてもらえた」と感じることが、どれほどの安心につながるでしょうか。
徳重医師の姿勢は、「聞くとは相手の痛みに寄り添うこと」だと教えてくれます。
ドラマ化でも話題!主演は松本潤さん
2025年7月から、TBS系列「日曜劇場」枠でドラマ版『19番目のカルテ』が放送されます。
徳重晃役には、人気グループ「嵐」の松本潤さんが抜擢。
そのほかにも、
- 滝野みずき役 小芝風花さん
- 外科医・東郷役 新田真剣佑さん
- 小児科医・有松役 木村佳乃さん
など、実力派俳優がそろっています。
自身初となる医者役に挑戦する松本さんが、静かに患者と向き合う医師をどう演じるのか、医療ドラマとしても注目が集まっています。
気になる方はぜひドラマにも注目してみてはいかがでしょうか。
まとめ:誰かの言葉に、そっと耳を傾けたくなる物語
『19番目のカルテ』は、ただ病気を診るのではなく、その人の人生や背景に目を向けながら、心に寄り添う医療の姿を描いています。
医療がテーマの作品ではありますが、決して専門的な知識がないと楽しめないものではありません。
むしろ描かれているのは、人と人とが信頼を築く過程そのもの。
たとえば、誰かの不調に気づいたとき。自分では言葉にできない違和感を抱えたとき。
そんな場面で、「ちゃんと話を聞いてくれる存在」がどれほど心強いか――この物語は、人のぬくもりを感じながら大切なことを静かに問いかけてくれます。
読み終えたあと、自分の周りの人と、いつもより少し丁寧に話したくなる。
そんなやさしい余韻が残る物語です。
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